開発コンセプト
 『Hallow』デザインの提唱者、名古屋工業大学 伊藤孝紀准教授(芸術工学)は、路上や街中に点在する隙間を用いた『ゆとり』 インスタレーション活動を展開されています(2009年)。
 私達との出会いは06年主催された名古屋市東区における活動紹介イベントでした。それ以降、放置自転車を再利用した町並みツアーイベントや建築系学生により毎年企画開催の“全国大学卒業設計巡回展 in NAGOYA”への協力要請もいただくようになりました。


 「組手什」にも用いられている『凹み・穴・隙間』を活かしたデザインコンセプトは、伊藤孝紀准教授により以下のようにまとめられています。

 機能主義が主要コンセプトであった20世紀、都市デザインも利便性を追求することが最大テーマでした。とくに執務環境としての事務用机や事務用椅子はJIS化され、大量生産による画一な工業デザイン製品となり、この影響は学童用家具や家庭生活にまで及んでしまいました。  
 世紀末以降の日本を含む先進諸国では、情報化の進展に歩調を合わせるように、時間に追われる都市勤労者の中から、企業をスピンアウトし起業を試みる都市生活者の増加傾向がみられます。  
 これら階層の多くは、環境市民:sophisticated green citizens と表現されるほど環境問題への意識が高い一方、その執務環境は相変わらずの製品を取り込まざるを得ない状況にあるともいえます。  
 ロハスに仕事効率を上げ、新しい発想を生み出すこれら階層の執務環境には、『ゆとり』が必要なはずです。それは些細な素材表現を見落とさない使い手の『ゆとり』をうみだすことから始まります。『ゆとり』を導く小さな仕掛けの集積こそが、新しい価値 (効率や発想) を生み出すのです。  

 『ゆとり』を生み出すデザインとは、機能とカタチが一対の関係にあるのではなく、使う人間に考える (感じる) 余裕をあたえるデザインです。使い手が、使い方を自ら発見し、使う楽しみを見出していくデザイン。ここでは、『ゆとり』を導く仕掛けを『凹み・穴・隙間』と捉えました。  
 人間が知覚し易く、認知するための『凹み・穴・隙間 (Hollow)』をつくり、『凹み・穴・隙間』の呼びかけ (Hello)に、使い手は行為を誘発され、自由な発想を生み出していくのです。  
 『ゆとり』を生み出すHollowをSolid:中空でない素材である地域材から創り出すというメビュウス的な発想も都市の循環の中では重要なコンセプトになるでしょう
 鉄とガラス、コンクリートを象徴素材にし、真善美を相変わらずのテキストに利用してきた機能主義デザインに対し、VitalそのものであるWoods:森林のあるがままの表情をデザインに取り込むことこそ、機能主義デザインへの挽歌となるでしょう。  
 Hallowは新たな市民階層への地域の森からのHelloであると同時に、使い手から地域の森へのHelloを込めた造語でもあるのです。

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